「天地明察」 冲方丁著
「土(はに)とは、神道において宇宙を構成する万物の根源であり、その最終的な姿を意味している。神と霊と人の心とを結ぶもので、神も霊も心も、結局は同じものが別の形をとっているのだ、という道理をあらわす上で、なくてはならない言葉である。」
農薬や化学肥料に頼らず、土の力を引き出す農業では、目に見えるものだけではなく、目には見えないものを感じる力が必要になってくると思います。自然の理を知り、その理に基づく技術を見つけていかなくてはなりません。神道における土(はに)の考え方は、自然農業における土(つち)に通じるものがあります。もちろん、昔は農薬や化学肥料などがありませんでしたので、農業の始まりは自然農業でした。人々が生きるための食料を得るために行った古代の農業と、私が行っている自然農業は同じようなものですので、「土」のとらえ方は同じようなものになるはずです。
自然を見つめていると、目には見えないけれども、宇宙の力、地球の力、自然の力、生命力や魂などを無視して自然の理を理解することは出来ないかも知れないと思うのです。このようなことを知る手掛かりとして、古代からの宗教も一つに手掛かりになるのではないかと思っています。
隣の爺様が、昔は対岸に良くキツネ灯が見えたものだと話をしていました。キツネ灯が無くなったのか、それとも人間の感性が劣ってきたのか、どうなんでしょうね~。ちなみに、我が家には、三代前の爺様が白いキツネを鉄砲で撃ってしまったとの事で、それを祀るための祠があります。お稲荷さんは、実際はキツネではなく、キツネのような姿の神様とのこと。昔は、良くも悪くも、人間の世界と別の世界の交流が盛んだったのかも知れませんね。